電子カルテの概要と役割

電子カルテは、診療内容を記録するだけでなく、院内の情報共有や医療安全、業務効率を支える重要なシステムです。ここでは、電子カルテの役割や利用者、システムの種類についてわかりやすく解説します。
【電子カルテの概要・役割・種類】
- 電子カルテを導入・利用する目的
- 電子カルテの種類は「クラウド型」「オンプレミス型」「ハイブリッド型」
1. 電子カルテを導入・利用する目的
電子カルテとは、患者の症状や診断内容、検査結果、処置、投薬履歴などの診療情報を電子化して記録・管理するシステムです。紙カルテに記載していた情報を一元管理できるため、必要な情報を素早く検索できる他、カルテの保管スペースも削減できます。
電子カルテに登録した診療情報は、処方箋の発行や検査のオーダーなどにも活用できます。また、医師や看護師をはじめとする院内スタッフが患者情報を共有しやすくなるため、診療や事務作業を円滑に進められる点も利点です。
さらに、アレルギー情報や服薬履歴を登録しておけば、薬の重複投与や禁忌薬の処方を確認しやすくなり、投薬ミスをはじめとする医療事故の防止にも役立ちます。
電子カルテを導入する主な目的は、診療情報を正確に記録・保存するとともに、業務の効率化や医療安全の向上を図り、安全で質の高い医療を提供できる体制を整えることです。
2. 電子カルテの種類は「クラウド型」「オンプレミス型」「ハイブリッド型」
電子カルテは、サーバーの設置場所やデータの管理方法によって、クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の3種類に分けられます。
クラウド型は、インターネットを通じてベンダーが管理するクラウドサーバー上の電子カルテを利用する方式です。原則として電子カルテ用の院内サーバーを設置する必要がないため、初期費用や保守・管理の負担を抑えやすいという特徴があります。
オンプレミス型は、院内に設置した専用サーバーでデータを管理する方式です。自院の業務内容や診療フローに合わせてカスタマイズしやすい反面、サーバーの導入費用や保守・管理の負担が大きくなる傾向にあります。
ハイブリッド型は、院内サーバーとクラウドを組み合わせて利用する方式です。オンプレミス型のカスタマイズ性と、クラウド型の利便性を生かせる一方、管理するシステムが増え、導入・運用コストや管理方法が複雑になる場合があります。
【関連記事】電子カルテは何種類ある?クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の特徴と違いを紹介
レセコンの概要と役割

レセコンは診療報酬の計算や窓口会計、レセプト請求など、医療機関の収益に直結する業務を支えるシステムです。ここでは、レセコンの役割や主な利用者、標準的なレセコンとして普及するORCAの特徴について解説します。
【レセコンの概要・役割・代表例】
- レセコンを導入・利用する目的
- 標準的なレセコンとして普及するORCA(オルカ)
1. レセコンを導入・利用する目的
レセコンとは、レセプトコンピューターの略称で、診療報酬明細書(レセプト)の作成や医療費の請求業務を支援するシステムです。
医療機関が患者に提供した診療内容に基づいて診療報酬点数を計算し、健康保険組合などの保険者へ保険診療分の医療費を請求する際に利用されます。
レセコンには、診療内容の入力や診療報酬点数の自動計算、窓口会計、領収書の発行など、医療事務を支援するさまざまな機能があります。毎月行われるレセプトの作成や請求業務を効率化することが、レセコンの重要な役割です。
複雑な診療報酬の計算を自動化することで、請求ミスの削減や医療事務スタッフの負担軽減につながります。また、製品によっては、患者の受付や処方箋の発行ができる他、収益や患者数などのデータを集計・分析し、医療機関の経営状況を把握できる機能も搭載されています。
2. 標準的なレセコンとして普及するORCA(オルカ)
ORCAは、日本医師会が提供する「日医標準レセプトソフト」です。医療現場のIT化と医療情報の標準化を目的として開発され、ソースコードが公開されたオープンソースソフトウェアとして提供されています。
ORCAにはオンプレミス型とクラウド型があり、オンプレミス型のみソフトウェアを無償で利用できます。また、診療報酬改定に対応した点数や薬価などのマスタが提供される点も特徴です。
ただし、実際にORCAを導入・運用する際は、初期設定や既存システムからのデータ移行、操作指導、保守・サポートなどをORCA対応ベンダーに依頼するケースがほとんどです。
そのため、オンプレミス型のようにソフトウェア自体は無償でも、導入費用や保守料金が必要になることを把握しておいてください。電話・リモート・訪問などによるサポートの方法や対応範囲は、契約するベンダーによって異なります。
一方、レセコンには、民間メーカーが独自に開発・提供する製品もあります。搭載されている機能や操作性、電子カルテとの連携方法、サポート内容は製品ごとにさまざまです。
【関連記事】ORCA(オルカ)とは|日医標準レセプトソフト(WebORCA)
電子カルテとレセコンの主な違い

電子カルテとレセコンは、いずれも医療機関の業務を支えるシステムですが、使用目的や主な利用者、取り扱う情報が異なります。
電子カルテは患者の症状や診断内容、検査結果、処置、投薬履歴などの診療情報を電子化し、一元的に管理・共有するためのシステムです。主に医師や看護師、薬剤師などの医療従事者が使用し、カルテの作成や処方・検査のオーダー、検査結果の確認などを行います。
一方、レセコンは、保険点数や患者の自己負担額を計算し、診療報酬明細書を作成・管理するためのシステムです。主に受付スタッフや医事課の担当者が使用し、窓口会計や領収書の発行、レセプトの作成・点検・送信などを行います。
| 項目 | 電子カルテ | レセコン |
|---|---|---|
| 目的 | 診療情報の記録・共有、医療安全の向上 | 診療報酬の計算、請求業務の効率化 |
| 利用者 | 医師、看護師、薬剤師などの医療従事者 | 受付スタッフ、医事課の医療事務担当者 |
| 機能 | カルテの作成、処方・検査オーダー、結果確認など | 窓口会計、領収書発行、レセプト作成・点検・送信など |
電子カルテとレセコンの連携で実現できること

電子カルテとレセコンを適切に連携できれば、患者の受付から診療、会計、レセプト請求までの情報をスムーズに共有できます。スタッフの負担軽減や入力ミスの防止、患者の待ち時間短縮も期待できるでしょう。
ここでは、電子カルテとレセコンが連携することで実現できることを解説します。
【電子カルテとレセコンの連携によって得られる利点】
- 新規患者の受付から診療後の精算までシームレスに管理できる
- レセプト作成の効率化と入力ミスの予防を両立できる
1. 新規患者の受付から診療後の精算までシームレスに管理できる
電子カルテとレセコンを連携させると、新規患者の受付から医師による診療、診療後の会計まで、各業務で使用する情報を効率的に共有することが可能です。
受付で登録した患者情報が電子カルテとレセコンの双方に反映されるため、同じ情報を重複して入力する手間を減らせます。
診療時に医師が電子カルテへ入力した処置や検査、投薬などの情報は、連携機能を通じてレセコンに取り込まれます。
その情報を診療報酬点数や患者の窓口負担額の計算に活用できるため、医療事務スタッフが電子カルテを確認しながら診療内容を転記する負担も軽減できるでしょう。
また、診療情報が電子データとして共有されることで、紙カルテの読みにくい記載について医師へ確認する手間も減らせます。受付・診療・会計間の情報連携が円滑になれば、院内スタッフの業務負担を軽減できる他、会計処理の迅速化や患者の待ち時間短縮にもつながります。
2. レセプト作成の効率化と入力ミスの予防を両立できる
電子カルテとレセコンが連携していないケースでは、医療事務スタッフは電子カルテに記録された診療内容を確認し、レセコンへ手作業で入力する必要があります。
しかし両システムが連携していれば、処置や検査、投薬などの情報をレセコンへ取り込めるため、入力作業にかかる手間や時間を削減することが可能です。
また、電子カルテに登録された診療内容とレセコンの請求情報はリアルタイムで共有されるため、レセプトの作成・点検業務も効率化できます。手入力や転記作業が減ることで、打ち間違いや入力漏れ、転記ミスなどの発生リスクを抑えられる点もメリットです。
さらに、連携システムやレセコンにチェック機能が備わっている場合は、情報の不整合や入力ミスを早い段階で発見できます。一方のシステムで修正した内容を、もう一方へ再入力する手間も減らせるため、診療報酬請求業務の効率化と精度向上につながります。
自院に最適な電子カルテとレセコン連携を実現するには

電子カルテとレセコンの連携環境を整えるには、製品を個別に選べる「分離型」と操作や管理を一本化しやすい「一体型」の特徴やメリット・デメリットを理解することが大切です。そのうえで、自院に最適な電子カルテやレセコンを選ぶ必要があります。
ここでは、分離型・一体型の違いやメリット・デメリット、レセコン選定のポイント、障害に備えた対策について解説します。
【電子カルテとレセコンの適切な連携とセキュリティ対策】
- 「分離型」と「一体型」の特徴や違いを理解する
- 「分離型」のメリット・デメリット
- 「一体型」のメリット・デメリット
- 自院に最適なレセコンの選び方
- 電子カルテとレセコン連携では障害やトラブル対策を万全にする
1. 「分離型」と「一体型」の特徴や違いを理解する
電子カルテとレセコンの連携方式は、「分離型」と「一体型」の2種類に分けられます。
分離型は、電子カルテとレセコンがそれぞれ独立したシステムとして動作し、患者情報や診療情報などのデータをシステム間で連携する方式です。既存システムとの連携条件を満たせば、現在使用している製品を残しながら、必要なシステムのみを追加・変更できます。
そのため、電子カルテやレセコンを段階的に導入・更新しやすい点が特徴です。
一体型は、電子カルテとレセコンの機能を1つのシステムにまとめた方式です。診療内容の入力から会計、レセプト作成までを同じシステム内で処理できるため、情報の転記やシステム間の連携設定にかかる負担を抑えられます。
一般的に、操作方法や保守・サポートの問い合わせ先も統一しやすくなります。
自院に最適な利用環境を用意するためには、それぞれの特徴を比較し、自院の既存システムや予算、必要な機能、運用体制に合った方式を選ぶことが重要です。
2. 「分離型」のメリット・デメリット
分離型のメリットは、既存の電子カルテやレセコンを活用しながら、必要なシステムだけを追加・更新しやすいことです。たとえば、すでにレセコンを利用している場合、既存システムとの連携条件を満たせば、レセコンを残したまま連携可能な電子カルテを導入できます。
システム全体を入れ替える必要がないため、初期費用を抑えられる可能性があります。
また、電子カルテとレセコンの候補製品を個別に比較し、自院の業務や診療体制に適した製品を組み合わせられる点も魅力です。導入や更新を段階的に進めやすく、将来的に電子カルテまたはレセコンのどちらか一方だけを変更できる可能性もあります。
一方で、分離型では、電子カルテとレセコンの間でデータを共有するための連携設定が必要です。製品ごとに画面や操作方法が異なるため、スタッフが複数の操作方法を覚えなければならず、教育や運用の負担が増える場合もあります。
さらに、システムごとにベンダーが異なる場合は、問い合わせ先が複数になります。障害が発生した際に、どちらのシステムに原因があるのかを特定するまで時間がかかる可能性もあるため、導入前に保守範囲や各ベンダーの責任分担を確認することが重要です。
3. 「一体型」のメリット・デメリット
一体型のメリットは、電子カルテとレセコンの機能が1つのシステムにまとめられており、患者情報や診療情報、会計情報を一元的に管理できることです。
診療内容の入力から会計、レセプト作成までを同じシステム内で処理できるため、情報の重複入力や転記作業を減らしやすく、受付・診療・会計の流れを効率化できます。
また、一般的に画面構成や操作方法に統一感があるため、スタッフが複数のシステムを使い分ける負担を抑えやすい点も魅力です。同じベンダーがシステムの提供や保守を担当する場合は、操作方法やトラブルに関する問い合わせ先も一本化しやすくなります。
一方、既存の電子カルテやレセコンから一体型へ切り替える場合は、両方のシステムを同時に更新する必要があり、初期費用が高くなる可能性があります。電子カルテとレセコンを異なる製品から自由に組み合わせにくく、一部の機能だけを変更・更新しにくい点にも注意が必要です。
4. 自院に最適なレセコンの選び方
レセコンを選ぶ際は、入力内容の整合性や請求漏れを確認できるチェック機能を確認しましょう。病名と薬剤・検査・処置との整合性を入力時に確認できれば、請求内容の誤りを早期に発見しやすくなります。
その結果、査定や返戻のリスク軽減に役立つ他、レセプトの点検業務も効率化できます。
現在使用している電子カルテとの連携可否も、重要な選定基準です。両システムを連携できない場合や、連携できる情報が限られている場合は、患者情報や診療内容を重複して入力する手間が発生します。
連携できるデータの種類や範囲、既存システムとの動作実績まで確認しておくことが大切です。
費用を比較する際は、初期費用だけでなく、月額利用料や保守費用、機器の購入・更新費用なども含め、導入後に必要となる総額を確認しましょう。また、問い合わせに対応している曜日・時間帯や電話・リモート・訪問によるサポートの有無も確認する必要があります。
導入前にはデモンストレーションや試用環境を活用し、実際に操作する医療事務スタッフの意見を聞きましょう。患者情報の登録や会計、レセプトの作成・点検など、日常業務を迷わず円滑に進められるかを確かめることが重要です。
電子カルテを選ぶ際のポイントについては、下記の記事で詳しく解説しています。
【関連記事】電子カルテは何種類ある?クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の特徴と違いを紹介
5. 電子カルテとレセコン連携では障害やトラブル対策を万全にする
電子カルテとレセコンを連携すると業務を効率化できますが、システム障害が発生した場合は診療情報の確認や会計、レセプト請求などの業務が停止する可能性があります。
特に一体型では、システムの一部で発生した不具合が電子カルテとレセコンの両方に影響する場合があるため、障害発生を想定した対策が欠かせません。
患者情報や診療データは定期的にバックアップし、障害時にデータを復元・閲覧できる方法まで把握しておくことが重要です。バックアップの保存場所や取得頻度に加え、復旧にかかる時間、予備端末や代替サーバーの有無も確認しましょう。
また、インターネット接続が切れた場合に利用できるオフライン機能が備わっているかも、導入前に確認する必要があります。
システムを利用できない状況に備えて、紙の受付票や診療内容を記録する用紙、会計用紙などを準備し、一時的に紙運用へ切り替える手順も定めておきましょう。
あわせて、障害発生時の院内連絡、ベンダーへの問い合わせ方法、スタッフの役割分担、復旧後のデータ入力・照合手順まで共有しておけば、業務の混乱を抑えやすくなります。
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JRCEでは、国内で標準的なレセコンとして幅広く普及している日医標準レセプトソフト・ORCAを提供しています。オンプレミス版・クラウド版双方のORCAを取り扱っているため、お客様の多様なニーズに対応可能です。
また、ORCAを利用するうえでの疑問や悩み、トラブルに迅速に対応できる以下のサポート体制も整えております。
- コールセンター:応答率90%以上、日医IT認定インストラクターによる対応
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- FAQサービス:ORCA関連の問い合わせをリアルタイムで反映、最新情報を配信
さらに、JRCEではORCAと相性の良い電子カルテを取り扱っているため、それぞれを連携させる実績も豊富です。データの移行についても、電子カルテ・ORCA双方の移行作業に対応しているため、これまで培ってきたデータを引き続き活用できます。
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この記事の著者
羽吉 智子
JRCE ORCAインストラクターグループ リーダー
JRCEのORCA事業開始当初からインストラクターとして従事。ORCAの導入から運用まで、現場目線で医療機関様に寄り添ったサポートをご提供しています。
