コラム

電子カルテは何種類ある?

それぞれの仕組みや特徴、メリットを解説

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電子カルテは何種類ある?それぞれの仕組みや特徴、メリットを解説

電子カルテは現在、3種類のタイプがあり、それぞれ費用や管理方法、カスタマイズ性、障害・災害への備えが異なります。自院に合わないタイプを選ぶと、導入後のコスト増加や操作性の低下、保守・管理業務の負担につながりかねません。

電子カルテの選定では、初期費用だけでなく、診療体制や院内のIT環境、レセコン・医療機器との連携性、将来的な拡張性まで含めて比較することが重要です。

本記事は、電子カルテの概要と3つのタイプの特徴と違い、それぞれの電子カルテのメリット・デメリットを解説します。電子カルテとレセコンの一体型と分離型の特徴と違い、電子カルテを選ぶ際のポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

電子カルテは「クラウド型」「オンプレミス型」「ハイブリッド型」の3種類

電子カルテは「クラウド型」「オンプレミス型」「ハイブリッド型」の3種類

電子カルテには、クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型があり、データの保存場所や費用、管理方法、カスタマイズ性などが異なります。

電子カルテを選定する際は、それぞれの仕組みや特徴を理解し、自院の規模や診療体制、IT管理環境に適した方式を見極めることが重要です。

ここでは、電子カルテの基本的な役割と、クラウド型・オンプレミス型・ハイブリッド型の違いを解説します。

【電子カルテの概要や仕組みと特徴】

  1. 電子カルテの仕組みと役割
  2. クラウド型電子カルテの仕組みと特徴
  3. オンプレミス型電子カルテの仕組みと特徴
  4. ハイブリッド型電子カルテの仕組みと特徴

1. 電子カルテの仕組みと役割

電子カルテとは、これまで紙で作成・保管していた診療録を、電子データとして保存・管理するシステムです。

紙のカルテを単にデジタル化するだけでなく、診断内容や処方内容、検査結果、看護記録など、診療に必要な患者情報を一元的に管理する役割があります。

紙カルテは原本を物理的に共有する必要があるため、複数の診療科や部署が同じカルテを同時に閲覧することは容易ではありません。一方、電子カルテであれば、閲覧権限を持つ医師や看護師などが、それぞれの端末から同じ患者情報を確認できます。

また、過去の診療内容をすぐに参照できるほか、入力候補の表示や定型文などの入力支援機能を活用できる場合もあります。これにより、カルテ作成にかかる時間を短縮し、記入漏れや入力ミスを防ぐことが可能です。

電子カルテは、患者情報を適切に管理・共有し、医療従事者の業務負担を軽減するとともに、円滑な診療や医療の質の向上を支えるシステムです。

2. クラウド型電子カルテの仕組みと特徴

クラウド型電子カルテとは、ベンダーが管理するクラウドサーバーに患者情報や診療データを保存し、インターネット経由で利用するシステムです。

医療機関は、院内のパソコンやタブレットなどからクラウド上の電子カルテにアクセスし、情報の入力や閲覧を行います。

院内に専用サーバーを設置する必要がないため、導入時に必要な機器が少なく、初期費用を軽減できます。また、サーバーの保守やシステムの更新をベンダーに任せられるため、院内での運用・管理にかかる負担を減らせる点もメリットです。

専門的なIT人材を確保することが難しいクリニックにとっても、導入を検討しやすい選択肢と言えるでしょう。

一方で、クラウド型電子カルテは、通信障害やベンダー側のシステム障害が発生した場合、一時的に電子カルテを利用できなくなる可能性があります。

そのため、導入前には、ベンダーが実施しているセキュリティ対策やデータのバックアップ体制、障害発生時のサポート内容を確認しておくことが重要です。

3. オンプレミス型電子カルテの仕組みと特徴

オンプレミス型電子カルテとは、院内に専用のサーバーや関連機器を設置し、患者情報や診療データを自院の設備で保存・管理するシステムです。電子カルテへの入力やデータの閲覧は、主に院内ネットワークを通じて行います。

自院の診療体制や業務フローに合わせて画面構成や入力項目などを調整しやすく、カスタマイズの自由度が高い点が特徴です。既存の医療機器や部門システムを、個別の要件に応じて連携させたい場合にも適しています。

一方で、専用サーバーや周辺機器を用意する必要があるため、クラウド型と比べて初期費用が高くなりやすい傾向にあります。導入後も、機器の保守や更新、故障時の復旧対応にかかる費用や管理業務が継続的に発生する点は押さえておきましょう。

オンプレミス型電子カルテは、導入・運用に必要な予算や管理体制を確保したうえで、自院の業務に合わせたシステムを構築したい医療機関に適しています。

4. ハイブリッド型電子カルテの仕組みと特徴

ハイブリッド型電子カルテとは、院内に設置したサーバーとクラウド環境を併用するシステムです。オンプレミス型とクラウド型の特徴を組み合わせ、医療機関の運用方針に応じてデータや機能を使い分けます。

たとえば、製品によっては、通常のデータ処理を院内サーバーで行い、データのバックアップや院外からの閲覧にクラウドを活用できます。

院内サーバーに障害が発生した際、クラウド環境を利用した運用へ切り替えられる構成であれば診療業務を継続しやすくなり、障害による影響を抑える効果が期待できるでしょう。

オンプレミス型の処理速度やカスタマイズ性と、クラウド型の利便性や災害対策を両立しやすい点が、ハイブリッド型の特徴です。

クラウド型電子カルテを導入するメリット

クラウド型電子カルテを導入するメリット

クラウド型電子カルテは、場所を問わず利用しやすく、初期投資や院内でのサーバー管理負担を抑えられる点が特徴です。ここでは、クラウド型電子カルテの主なメリットを解説します。

【クラウド型電子カルテのメリット】

  1. 場所を問わず柔軟に利用できる
  2. 初期投資を最小限に抑えられる
  3. 災害によるデータ消失リスクを軽減できる

1. 場所を問わず柔軟に利用できる

クラウド型電子カルテは、インターネット環境と対応端末があれば、院内だけでなく院外からも利用できる点がメリットです。院内ネットワークでの利用が中心となるオンプレミス型と比べて、場所を問わず患者情報を確認しやすくなります。

たとえば、訪問診療や在宅医療では、訪問先の患者宅で過去の診療内容や処方歴、検査結果などを確認できます。訪問先で診療内容を入力できれば、院内へ戻ってからあらためてカルテを作成する手間も減らせるでしょう。

また、複数の診療所や拠点を運営している医療機関では、各拠点のスタッフ間で患者情報を共有しやすくなります。診療場所が異なる場合でも、必要な情報を確認しながら対応できる点は大きな利点です。

2. 初期投資を最小限に抑えられる

クラウド型電子カルテは、院内に専用サーバーを設置する必要がないため、初期費用を抑えやすい点がメリットです。クラウド型はベンダーが管理するサーバーを利用するため、院内に大規模な設備を用意せずに運用を始められます。

製品によっては、院内ですでに使用しているパソコンやタブレットを活用できるため、専用端末の購入費を抑えることも可能です。また、初期費用を無料または低額に設定しているサービスもあり、開業時や初めて電子カルテを導入する医療機関でも検討しやすいでしょう。

ただし、既存端末を利用できるかどうかは、対応するOSやブラウザ、端末の性能などによって異なります。導入前に、製品の利用条件を確認しておくことが大切です。

3. 災害によるデータ消失リスクを軽減できる

クラウド型電子カルテは、患者情報や診療データをベンダーが管理するデータセンターに保存するため、災害によるデータ消失のリスクを分散しやすい点がメリットです。

遠隔地のデータセンターにデータを保存していれば、院内設備と患者情報が同時に失われるリスクを抑えられます。

また、利用できる端末や通信環境を確保できれば、被災した医療機関とは別の場所から患者情報へアクセスできます。そのため、災害後の診療再開や事業継続の観点からも有効な選択肢と言えるでしょう。

ただし、クラウド型であっても、データの消失やシステム停止を完全に防げるわけではありません。データセンターの所在地や耐震・防火対策、データの多重化、バックアップの頻度や保管場所、障害発生時の復旧手順などは、ベンダーによって異なります。

クラウド型電子カルテを導入した場合のデメリット

クラウド型電子カルテを導入した場合のデメリット

クラウド型電子カルテは、初期費用やサーバー管理の負担を抑えやすい一方、継続的な利用料金や通信障害、情報漏えいなどのリスクもあります。ここでは、クラウド型電子カルテの主なデメリットを解説します。

【クラウド型電子カルテのデメリット】

  1. 導入後も継続的な費用負担が発生する
  2. 安定したインターネット環境が求められる
  3. 不正アクセスや情報漏洩リスクへの備えが必要

1. 導入後も継続的な費用負担が発生する

クラウド型電子カルテは初期費用を抑えやすい一方で、導入後も月額利用料や保守費用が必要です。料金体系によっては、利用者数や端末数、同時接続数などが増えるほど、毎月の支払額が高くなる場合があります。

また、レセコンとの連携や機能の追加、サポートプランの変更などに別途オプション料金が発生することもあります。導入時の費用が安くても、必要な機能やサービスを追加すると、長期間利用した際の総費用が想定を上回る可能性があるので注意してください。

費用面に加えて、カスタマイズの範囲も確認しておきましょう。クラウド型は、ベンダーが提供する標準機能を中心に利用するため、製品によっては自院の業務フローに合わせた大幅な仕様変更が難しい場合もあります。

2. 安定したインターネット環境が求められる

クラウド型電子カルテは、インターネットを通じてクラウド上のシステムにアクセスするため、安定した通信環境が欠かせません。通信速度が遅かったり接続が不安定だったりすると、画面の表示や入力内容の反映に時間がかかり、診療業務の効率が低下するおそれがあります。

また、インターネット回線や院内ネットワーク、通信機器に障害が発生した場合、一時的に電子カルテが利用できない状況も発生します。

診療履歴や処方内容、検査結果などを確認できなければ、診療や患者対応に必要な情報をすぐに把握できず、業務に支障が生じる可能性も出てくるでしょう。

院内の通信速度が不足している場合や、無線LANが届きにくい場所がある場合は、回線の増強や通信機器の交換、アクセスポイントの追加などが必要です。その結果、導入時に追加費用がかかることもあります。

3. 不正アクセスや情報漏洩リスクへの備えが必要

クラウド型電子カルテは、インターネット経由でクラウド上の患者情報を利用するため、不正アクセスの防止や情報漏えい対策が欠かせません。

電子カルテには氏名や住所などの個人情報に加え、病歴や検査結果、処方内容など、機密性の高い医療情報が保存されています。

これらの情報が漏えいすると、患者のプライバシーが侵害されるだけでなく、医療機関の信用低下にもつながるおそれがあるので注意が必要です。

クラウド型では、ベンダーと医療機関がそれぞれの管理範囲に応じてセキュリティ対策を行います。そのため、導入前には、通信や保存データが暗号化されているか、不正なアクセスを監視する仕組みがあるかを確認することが重要です。

あわせて、データの保存場所やバックアップ方法、情報漏えいなどのセキュリティ事故が発生した際の連絡・対応体制も確認しておきましょう。

ただし、ベンダーが実施する対策だけで、すべてのリスクを防げるわけではありません。医療機関側でも、多要素認証の導入や職員ごとのアクセス権限の設定、端末・ID・パスワードの適切な管理が求められます。

オンプレミス型電子カルテを導入するメリット

オンプレミス型電子カルテを導入するメリット

オンプレミス型電子カルテは、診療データを院内で管理しながら、自院の業務フローに合わせてシステムを構築しやすい点が特徴です。ここでは、オンプレミス型電子カルテの主なメリットを解説します。

【オンプレミス型電子カルテのメリット】

  1. 診療データを院内で安全に管理しやすい
  2. 自院のニーズに応じたシステム設計が可能

1. 診療データを院内で安全に管理しやすい

オンプレミス型電子カルテは、院内に設置したサーバーに診療データを保存するため、データの保管場所や管理方法を自院で把握しやすい点がメリットです。

外部のクラウドサーバーを常時利用しない構成であれば、インターネット経由の不正アクセスや患者情報の流出リスクも抑えやすくなります。

また、医療機関が職員ごとの閲覧・操作権限を設定したり、自院の方針に合わせて院内ネットワークを構築したりできる点も魅力です。アクセス範囲や通信方法を細かく管理できるため、自院のセキュリティ方針をシステムに反映しやすいでしょう。

2. 自院のニーズに応じたシステム設計が可能

オンプレミス型電子カルテはクラウド型と比べてカスタマイズの自由度が高く、自院の診療科や診療体制、業務フローに合わせて仕様を調整しやすい点もメリットです。

たとえば、画面に表示する項目や入力方法を変更したり、既存のレセコンや部門システム、検査機器と連携させたりできます。医師や看護師が使いやすい操作環境を整えることで、同じ情報を重複して入力する手間や画面を切り替える作業を減らせるでしょう。

その結果、診療業務の効率化や入力ミスの防止につながります。

ただし、希望する機能をすべて自由に追加できるとは限りません。カスタマイズには専門的な知識やベンダーの支援が必要であり、内容によっては追加費用がかかったり、開発に時間を要したりする場合があります。

オンプレミス型電子カルテを導入した場合のデメリット

オンプレミス型電子カルテを導入した場合のデメリット

オンプレミス型電子カルテは、カスタマイズ性や管理の自由度が高い一方、導入時にまとまった費用がかかり、運用開始後もサーバーやネットワーク機器の保守・管理が必要です。

ここでは、オンプレミス型電子カルテを導入する主なデメリットを解説します。

【オンプレミス型電子カルテのデメリット】

  1. 導入時の資金負担が大きくなりやすい
  2. システムの運用・保守を院内で行う必要がある
  3. 災害によるデータ消失リスクがある

1. 導入時の資金負担が大きくなりやすい

オンプレミス型電子カルテは、院内に専用サーバーやネットワーク機器を購入・設置する必要があるため、導入時の初期費用が高くなりやすい点がデメリットです。

サーバー本体に加えて、電子カルテを利用するパソコンや周辺機器、ソフトウェアなどの購入費がかかります。さらに、システムの初期設定や院内ネットワークの整備、機器の設置作業にも費用が必要です。

既存のレセコンや部門システム、検査機器と連携する場合や、自院の業務フローに合わせて機能をカスタマイズする場合には別途費用が発生することもあります。そのため、クラウド型と比べて、導入時にまとまった資金が必要になる傾向にあります。

2. システムの運用・保守を院内で行う必要がある

オンプレミス型電子カルテは、院内に設置したサーバーや関連機器について自院が管理責任を担う範囲が大きいため、運用・保守に手間がかかりやすい点がデメリットです。

運用開始後は、サーバーやネットワーク機器の状態を定期的に確認する必要があります。さらに、OSやソフトウェアの更新、セキュリティ対策、診療データのバックアップなども定期的に行わなければなりません。

障害が発生した際には、原因の特定や機器の修理・交換、データの復旧といった対応も必要です。

院内に専門知識を持つ担当者がいない場合は、ベンダーや外部の保守事業者への委託が必要になることがあります。その場合、保守契約や障害対応にかかる費用が継続的に発生します。

適切な点検や更新、バックアップが行われていないと、システムの停止やデータ消失、情報漏えいにつながるおそれがあります。

3. 災害によるデータ消失リスクがある

オンプレミス型電子カルテは、診療データを院内サーバーにのみ保存している場合、災害によってデータを失う可能性が高い点もデメリットです。

特に、浸水による水没や火災による焼損でサーバーが損傷すると、機器の修理や交換に加え、保存されている患者情報の復旧も難しくなる可能性があります。

また、バックアップ媒体をサーバーと同じ場所に保管している場合、災害によって院内サーバーとバックアップデータの両方を失うおそれがあります。診療記録を確認できなくなれば、災害後の診療再開に支障をきたす可能性もあるでしょう。

そのため、診療データを定期的にバックアップし、同一災害の影響を受けにくい遠隔地にも保存することが重要です。バックアップデータから正常に復旧できるか、定期的に確認することも欠かせません。

ハイブリッド型電子カルテを導入するメリット

ハイブリッド型電子カルテを導入するメリット

ハイブリッド型電子カルテは、院内サーバーの安定した操作性と、クラウド環境の利便性や災害対策を組み合わせられる点が特徴です。ここでは、ハイブリッド型電子カルテの主なメリットを解説します。

【ハイブリッド型電子カルテのメリット】

  1. 通常運用と非常時運用を使い分けられる
  2. 複数の保存環境によりデータ保全性を高められる
  3. 外出先からでもシステムへアクセスが可能

1. 通常運用と非常時運用を使い分けられる

ハイブリッド型電子カルテは、院内サーバーとクラウド環境を併用し、通常時と非常時で利用環境を切り替えられる点がメリットです。

製品によっては通常時のデータ処理に院内サーバーを利用しますが、外部のインターネット回線の影響を受けにくいため、安定した応答速度や操作性が期待できます。

また、院内サーバーに故障や障害が発生した際には、クラウド環境を利用した非常時運用へ切り替えられる製品もあります。クラウド上に保存された患者情報を確認できれば、電子カルテを利用できない時間を短縮し、診療業務を継続しやすくなるでしょう。

ただし、障害発生時に自動で切り替わるか、非常時にどの情報や機能を利用できるかは、導入する製品によって異なります。また、クラウド環境への切り替えに時間がかかったり、非常時には一部の機能が制限されたりする場合もあります。

2. 複数の保存環境によりデータ保全性を高められる

ハイブリッド型電子カルテは、製品によっては診療データを院内サーバーとクラウド環境の両方に保存できるため、障害や災害によるデータ消失のリスクを分散しやすい点がメリットです。

たとえば、院内サーバーに故障が発生しても、クラウド上に必要なデータの複製やバックアップが保存されていれば患者情報が失われるリスクを抑えられます。

また、災害によって院内設備が損傷した場合でも、遠隔地のデータセンターにバックアップが残っていればデータを復元し、電子カルテの利用を再開しやすくなるでしょう。

このように、院内設備とクラウド環境を併用する仕組みは、災害やシステム障害が発生した際の診療継続を重視する医療機関に適しています。BCP(事業継続計画)の観点から電子カルテを選定する場合にも、有力な選択肢の一つです。

3. 外出先からでもシステムへアクセスが可能

ハイブリッド型電子カルテは、クラウド側の機能が対応していれば、院外から電子カルテへアクセスできる点もメリットです。インターネット環境と対応端末があれば、タブレットやノートパソコンなどから必要な患者情報を確認できます。

訪問診療や在宅医療では、訪問先の患者宅で過去の診療内容や処方歴、検査結果などを参照できます。訪問先から診療内容を入力できる製品であれば、院内へ戻ったあとに、あらためてカルテへ入力する手間を減らせるでしょう。

また、入力した内容を院内スタッフと速やかに共有できるため、診療後の連携も円滑になります。

製品によっては、院内ではサーバーを活用した安定的な運用を行い、院外ではクラウドの利便性を活用できます。診療場所に応じて利用環境を使い分けやすい点が、ハイブリッド型の特徴です。

ハイブリッド型電子カルテを導入した場合のデメリット

ハイブリッド型電子カルテを導入した場合のデメリット

ハイブリッド型電子カルテは、オンプレミス型とクラウド型の利点を組み合わせられる一方、導入・運用コストが高くなりやすく、セキュリティ管理も複雑になる傾向にあります。

ここでは、ハイブリッド型電子カルテの主なデメリットを解説します。

【ハイブリッド型電子カルテのデメリット】

  1. 高度な環境構築により初期コストが増加しやすい
  2. 適切なセキュリティ運用が求められる

1. 高度な環境構築により初期コストが増加しやすい

ハイブリッド型電子カルテは、院内サーバーとクラウド環境の両方を利用するため、システム構成によっては初期費用が高くなりやすい点がデメリットです。

院内サーバーやネットワーク機器の購入・設置費用に加え、システム構築費などが発生する場合があります。また、データの同期やバックアップ、障害発生時の切り替え機能などを追加すると、システム構成が複雑になります。

その結果、設定やシステム構築にかかる費用の総額が増大する可能性もあるでしょう。

導入後も、クラウド機能の月額利用料や院内機器の保守費用、データのバックアップで必要になる利用料などが継続的に発生する場合があります。

院内設備とクラウド環境のそれぞれに費用がかかるため、クラウド型やオンプレミス型と比べて、運用コストが高くなる可能性にも注意が必要です。

2. 適切なセキュリティ運用が求められる

ハイブリッド型電子カルテは、院内サーバーとクラウド環境の両方を利用するため、それぞれの利用環境に応じたセキュリティ対策が必要です。

単一の環境で運用する場合と比べて、管理するシステムや通信経路が増えることから、セキュリティ管理が複雑になりやすい点がデメリットです。

クラウド機能を利用すれば院外から患者情報を確認できる一方、端末の紛失や盗難をきっかけに、不正アクセスや情報漏えいが発生するおそれがあります。また、許可されていない端末・記録媒体へのデータの持ち出しにも注意が必要です。

これらを予防するためには、多要素認証の導入や職員ごとのアクセス権限の設定などの対策を講じる必要があります。

院内ネットワークについても、接続端末の管理やシステムの更新、アクセスログの確認などを適切に行わなければなりません。あわせて、患者情報の取り扱いや端末の持ち出しに関するルールを定め、職員へのセキュリティ教育を継続的に実施することが重要です。

電子カルテにはレセコンとの一体型と分離型がある

電子カルテにはレセコンとの一体型と分離型がある

電子カルテを選ぶ際は、データの保存方式だけでなく、レセコンとの構成や連携にも注目する必要があります。両者を適切に連携・運用できれば、診療情報の重複入力を減らし、会計やレセプト作成を効率化できるほか、入力ミスや請求漏れを防ぐことが可能です。

ここでは、レセコンの役割や一体型と分離型の仕組み・特徴などを解説します。

【レセコンの概要と一体型・分離型の特徴】

  1. レセコンの役割と機能
  2. 電子カルテとレセコンの機能が備わった「一体型」
  3. 電子カルテとレセコンを連携させる「分離型」

1. レセコンの役割と機能

レセコンとは、「レセプトコンピューター」の略称で、診療報酬明細書(レセプト)の作成や請求業務を支援するシステムです。「医事コンピューター」と呼ばれることもあります。

患者ごとの診療内容を基に診療報酬の点数を算定し、患者の自己負担額や保険者への請求額を計算します。さらに、審査支払機関へ診療報酬を請求するためのデータを作成・管理することも、レセコンの主な役割です。

製品によっては、病名と処方内容・診療行為との整合性の確認や、領収書・請求書・処方箋の発行などにも対応しています。複雑な点数計算や請求データの作成を効率化できるため、医療事務スタッフの業務負担を軽減し、入力ミスや請求漏れを防ぎやすくなる点がメリットです。

代表的なレセコンの一つに、日医標準レセプトソフト・ORCA(オルカ)があります。電子カルテとORCAを連携すれば、電子カルテに入力した診療内容をORCAへ反映できるため、同じ情報を重複して入力する手間を減らせます。

結果、医師や看護師が診察に集中しやすくなり、会計担当の業務負担も軽減できるでしょう。

電子カルテとレセコンの構成には、両方の機能を一つのシステムにまとめた「一体型」と、それぞれ独立したシステムを連携させる「分離型」があります。

【関連記事】ORCA(オルカ)とは|日医標準レセプトソフト(WebORCA)

2. 電子カルテとレセコンの機能が備わった「一体型」

一体型とは、電子カルテとレセコンの機能を一つのシステムにまとめた構成です。電子カルテに病名や処方内容、処置などを入力すると、その情報が診療報酬点数の算定やレセプトの作成に反映されます。

電子カルテとレセコンの間で同じ診療情報を重複して入力する作業を減らせるため、入力にかかる手間や転記ミスを抑えやすい点がメリットです。

また、受付・診察・会計で使用する機能の操作体系が統一されている製品が多く、複数のシステムを個別に習得する負担も軽減できます。

導入や保守、トラブル発生時の問い合わせ窓口を一本化しやすい点も特徴です。電子カルテとレセコンを別々のベンダーから導入する場合と比べて、障害の原因や対応先も判断しやすくなるでしょう。

一方で、電子カルテとレセコンが一つの製品として提供されるため、どちらか片方だけを別の製品へ変更することが難しい場合もあります。また、既存の検査機器・外部システムとの連携に対応できるとは限りません。

3. 電子カルテとレセコンを連携させる「分離型」

分離型とは、電子カルテとレセコンをそれぞれ独立したシステムとして導入し、両者を連携させて運用する構成です。電子カルテに入力した病名や処方内容、処置などの情報をレセコンへ連携し、診療報酬点数の算定やレセプトの作成はレセコン側で行います。

電子カルテとレセコンを別々に選べるため、現在使用しているレセコンを残したまま、電子カルテのみを新しい製品へ入れ替えることも可能です。代表的な構成の一つに、日医標準レセプトソフト(ORCA)と電子カルテを連携させる方法があります。

それぞれの製品を個別に選定できるため、自院の診療科の特性や業務フローに合ったシステムを組み合わせやすい点がメリットです。将来的に電子カルテまたはレセコンのどちらか一方だけを見直しやすいことも、分離型の特徴と言えるでしょう。

一方で、異なるベンダーの製品を組み合わせる場合は、電子カルテとレセコンで操作画面やサポート窓口が分かれることがあります。また、導入時には両システムの連携設定や動作確認が必要です。

電子カルテ選定で重視すべきポイント

電子カルテ選定で重視すべきポイント

電子カルテは種類や機能が豊富なため、価格や知名度だけで選ぶと現場の業務に合わず、かえって入力作業や管理負担が増える可能性があります。

導入後のミスマッチを防ぐには、操作性や外部システムとの連携性、ベンダーの信頼性、サポート体制まで総合的に比較することが重要です。ここでは、自院に適した電子カルテを選ぶために重視すべきポイントを解説します。

【電子カルテ導入における選定のポイント】

  1. メーカー・ベンダーの信頼性で選ぶ
  2. 現場での使いやすさ重視で選ぶ
  3. 外部システムとの連携性で選ぶ
  4. 運用開始後の支援体制を重視して選ぶ

1. メーカー・ベンダーの信頼性で選ぶ

電子カルテは、導入後も長期間にわたって診療業務を支えるシステムです。そのため、製品の機能や価格だけでなく、メーカー・ベンダーの信頼性も重視して選ぶ必要があります。

まず、自院と同規模の医療機関や、同じ診療科への導入実績を確認しましょう。サービスの提供年数や導入件数に加え、保守・サポート体制が継続的に整備されているかも重要な確認項目です。

また、自院が希望する機能や連携要件をすべて実現できない場合には、代替案の内容も確認する必要があります。現在の業務フローを大きく変えずに運用できる方法や、現場の負担を抑えた改善策を提案してくれるベンダーであれば、導入後のミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。

さらに、医療DXの推進や診療報酬改定、電子カルテの標準化など、制度や環境の変化へ継続的に対応できるかどうかも重要です。システムの更新方針や制度改正への対応実績についても確認しておきましょう。

2. 現場での使いやすさ重視で選ぶ

電子カルテを選ぶ際は、多機能であることだけでなく、自院の業務フローに合っているかを確認することも重要です。まずは、現在の業務で生じている課題を明確にし、その課題を解決するために必要な機能を整理しましょう。

電子カルテは医師だけでなく、看護師や医療事務スタッフなど、自院で働くさまざまな職種が使用します。そのため、特定の職種だけでなく、実際に利用する職員の立場から操作性を確認することが大切です。

具体的には、入力画面が見やすいか、必要な患者情報をすぐに検索できるか、少ない操作で目的の画面へ移動できるかなどを確認しましょう。入力項目の配置や文字の大きさ、画面の切り替え方が現場の業務に合っているかも重要な確認項目です。

候補となる製品を絞り込んだら、デモンストレーションや、利用可能であれば無料トライアルを活用します。受付から診察、処方、会計までの日常的な業務を想定し、実際の操作手順に沿って試してみましょう。

3. 外部システムとの連携性で選ぶ

電子カルテを選定する際は、レセコンをはじめとする院内の既存システムと連携できるかを確認することも重要です。

特に分離型を導入する場合は、現在使用しているレセコンや導入予定のレセコンとの連携実績がある製品・ベンダーを選びましょう。必要な診療情報を十分に連携できないと、電子カルテとレセコンの両方へ同じ内容を入力しなければならない場合があります。

その結果、職員の業務負担が増え、入力ミスも生じやすくなります。

一体型を選ぶ場合も、自院で必要な診療報酬の算定やレセプト作成などの機能が備わっているかを確認する必要があります。診療科特有の運用に対応できるかも、事前に確認しておきましょう。

また、検査機器や画像管理システム、予約システム、自動精算機など、レセコン以外の機器・システムとの連携性も重要な選定基準です。現在使用している設備だけでなく、将来的に導入する予定の機器やサービスも整理しておくと、拡張性を判断しやすくなります。

4. 運用開始後の支援体制を重視して選ぶ

電子カルテを選ぶ際は、導入後の操作に関する問い合わせやトラブルへの対応などが充実しているかも重要な要素です。そのため、製品の機能だけでなく、メーカー・ベンダーの支援体制も確認して選ぶことが大切です。

まず、サポートの受付曜日や対応時間、電話・メールなどの問い合わせ手段を確認しましょう。遠隔操作による支援や、必要に応じた現地対応を受けられるかも重要な確認項目です。

システム障害が発生した場合には、原因の調査や復旧作業のうち、どの範囲まで対応してもらえるかを確認する必要があります。緊急時の連絡先や初動対応の内容なども把握しておくと安心です。

また、導入時に操作研修を受けられるか、マニュアルや動画などの学習資料が提供されるかも確認しましょう。

診療報酬改定や制度変更に伴うシステム更新については、対応時期や作業方法、費用の有無を確認する必要があります。更新費用が保守料金に含まれているのか、院内で必要となる作業があるのかも明確にしておきましょう。

「サポート付き」という表記だけで判断せず、院内とメーカー・ベンダーの作業分担、追加費用が発生する条件、障害発生時の対応体制を契約前に確認することが大切です。

電子カルテとの連携実績が豊富なORCA(オルカ)のご相談はJRCEに!

電子カルテとの連携実績が豊富なORCA(オルカ)のご相談はJRCEに!

JRCEは、複数の電子カルテと連携可能な日医標準レセプトソフト・ORCA(オルカ)の提供をはじめ、セキュリティ対策やシステム導入支援まで一気通貫で支援いたします。

また、日本医師会ORCA管理機構の認定事業者としての経験を活かし、会計・レセプト請求時の注意点をまとめた資料のご提供とともに、以下の体制でお客様をサポートします。

  1. コールセンター:応答率90%以上、日医IT認定インストラクターによる対応
  2. リモート支援:電話による問題解決が難しい場合は、機器のリモート操作で支援
  3. フィールドサービス:リモート接続での解決も難しい時は、専門スタッフを派遣
  4. FAQサービス:ORCA関連の問い合わせをリアルタイムで反映、最新情報を配信

扱う電子カルテのタイプも、クラウド型・オンプレミス型の両方に対応可能です。ご要望をお聞かせいただければ、お客様の病院の規模や診療体制などを考慮しつつ、最適な形での連携をご提案いたします。

「ORCAと連携できる電子カルテを導入したいが、自院はオンプレミス型がいいのか?クラウド型がいいのか?判断できない」という方は、ぜひJRCEにお気軽にご相談ください。

この記事の著者

羽吉

羽吉 智子

JRCE ORCAインストラクターグループ リーダー

日医IT認定インストラクター資格保有者

JRCEのORCA事業開始当初からインストラクターとして従事。ORCAの導入から運用まで、現場目線で医療機関様に寄り添ったサポートをご提供しています。